Electric Guitar | Gibson Les Paul, 60s
ギターも長い間生きているといろんなことがあるようだ。上の小さな3つの穴はビグズビートレモロの穴だが、下のテイルピース用の二つの大きな穴? 誰が一体何のためにこんなところに穴を開けたのか理解に苦しむところだが、多分その人の頭にもこんな穴が開いていたのだろう。
ヴィンテージ価値のあるギターを修理するときに難しいことの一つに、新しい塗装を最小限度に押さえなくてはならないということがある。そして長い年月をか けてしっかりと固まったラッカーと新しいラッカーとは硬度が同じにはならないので頭の痛い問題なのだ。しかもこのレスポールの場合はわずかに虎目が出ていて埋め込むプラグはメイプルならなんでもいいというわけには行かない。虎目は見る角度を変えるとその位置が微妙に変わるので木の選択にはとても神経を使う。
ある程度の大きさの木材を選んだらサンディングしてから塗装し、虎目の状態をチェックする。そしてその中からもっともオリジナルに近い所を使ってプラグを作るのである。
簡単に言えば、先ず穴を埋めてからさらに少し大きめの穴を浅く開け、その中に虎目を合わせながらプラグをピッタリとはめこむわけだ。プラグが 埋められたら色合わせをしてクリヤーをかけ乾くのを待って磨く。だが実際にはたったそれだけの作業に気の遠くなるような時間と忍耐力そして経験が必要になってくるのだ。