Acoustic Guitar | Washburn, Nyron Strings
ブリッジ、ピックガード そして表面板の復元である。
主な修理内容
•ピックガードの除去
•ブリッジの除去と複元
•トップの塗り替え
不思議なギターである。ウォシュバーンには間違いないのだが、わからないのはブリッジとピックガードだ。どちらもオリジナルというには少々不細工だし、素人の仕事にしては手の込んだ作品である。残念ながらオリジナルの写真が手に入らなかったので年代と仕様の近いものをモデルにして復元しなければならなかった。
両方とも取りはずしてみるとオリジナルでないことははっきりしたが、ブリッジなどはウィングにインレイなんか入っていたりしていて作るのにもかなり手間、暇がかかっている。なのに技術はお粗末なのだ。だが、素人の作品としては 90点をあげたいと思う。
この状態から剥離材を使って表面板の塗装を剥がしてみると、ピックガードの接着剤の下はやはり木の色が周りと少し違っていた。塗装技術である程度はカバーできるが、一度変わってしまった木の色をもとに戻すのは不可能である。
仕様の近いモデルの写真
新しく作ったブリッジ
恐らくこのタイプであろうと思われるブリッジの各部の寸法を測り、その写真をもとに新しいブリッジを作ったのであるが、このブリッジはほかのどんなブリッジとも大きく異なっている。
上がその写真で、下の二つが新しく作ったブリッジの写真である。注意してみると、ブリッジピンが3つずつ組になっていて、3弦と4弦との間がほかより少し広 いのがわかる。しかも普通のブリッジの場合、弦はブリッジピンの真ん中に収まっているが、この写真では弦がブリッジピンの内側から出ているのがわかるだろうか? そして、ブリッジの前側つまり張られた弦の下に少しだけ弦の端っこが見えるが、実はここに穴が開いていて、弦はここから入ってブリッジピンの外側に開いた 穴から外に出る。そしてピンの周りをまわってピンの内側から糸巻きの方へ張られていくのだ。何のためにこんなややこしいことをするのか大した意味はないように思うが、ウィングの彫刻もやたら難しく、クラフトマンの自己満足でしかないようなブリッジだ。
しかし、出来上がってギターに接着してみると、なんともいえない上品な雰囲気で、全体のデザインと良く合っていて、さながら貴婦人のようである。 ネックとヘッドのジョイント部なんかは心憎いばかりの演出である。できることならずっと手元に置いておきたいと思わせるギターであった。